シリア情勢 アラブ連盟、ホムスの治安、論調など
【10月29日金曜礼拝後の反政府デモ】
統一テーマはFriday for Air Blockade(空域封鎖を求める金曜日)。
アラブ連盟の代表団がシリアに押し切られた点(後述)に落胆表明。国連・国際社会の支援がない点にいらだちを表明。。
クルド地区では、ムスリム同胞団と海外組の世俗派(ガリユーン)とアサド大統領の3者は、クルド問題に無関心である点が共通していると批判。
【アラブ連盟】
先週水曜日のアラブ連盟・外相レベル代表団のシリア訪問については、「訪問団を受け入れることと、外相会議の決議を受け入れることは別」というスタンスで会談に臨んだ。
会談後にカタール首相が記者に語った話(合意した点もあるが、合意しなかった点もあり、それぞれが懸案事項を持ち帰り、30日にまた会談する)は外交的な表現であって、実際には、双方が主張したいことを主張して終わった模様。シリア側報道によると、シリアは規定の路線を貫いた。つまり、対話はシリア国内で開く。参加するのは自由だが、ボイコットする人は相手にしないというスタンス。
(このシリアの姿勢を受け、アラブ連盟がどのような対応をするかは、日本時間で明日以降の話になる。)
(新聞情報としては書かれていないものの、シリアはカタールに対し、ジャジーラの捏造報道を止めろくらいのことは要求したはずだが、その後ジャジーラの報道姿勢に変化がないところを見ると、カタールの側も態度を変えていないのだろう。)
ムアッリム外相とミクダード外務次官が本日カタールを訪問し、「シリアの本当の現状」を説明する。また、シャアバーン大統領顧問が、近くサウジを訪問する。
【国連】
国連のバンキムン事務総長が安保理に提出したシリア報告書の内容が、米欧の新聞報道と人権団体の発表をまとめただけであり、事前にシリア政府が国連に提出した情報が一つも含まれていないと、シリア大使が事務総長を名指しで批判。
シリア軍がレバノンに越境したという件については、シリア・レバノン両政府が「シリア軍は越境していない」と公式発表していて、二国間で問題になっていないのに、第三者である国連が、シリアの名前を国連報告書に載せた点を、特に許し難いとしている。
レバシリ国境が未確定である最大の理由は、イスラエルによる占領(対イスラエル武装闘争に必要な土地)なので、イスラエルの政策を正すのが筋なのに、米国は拒否権を行使してきたと反論。
別件で、IAEAの査察団受け入れ要求に対し、シリア政府が拒否回答。
【米国】
フォード駐シリア大使を非公式な理由で引き上げたが、シリアが即座に駐米大使の本国召還を発表したら、国務省はフォード氏が米国に戻った理由説明を二転三転させ、最後は、まもなく帰任させると発表。米国政府は明らかに動揺した。
別件で、シリアが制裁をかいくぐり、米国Blue Coat社のウェブ・アクセス監視システムを入手した(最新のWSJ紙)。
【周辺国】
トルコ外務省が、離反兵アスアド氏のNYT紙記者とのインタビューを、ハタイ県の役所内で設定した。アスアドは武器支援をぬけぬけと世界に要請。
(トルコは実際に対シリア制裁をすることができないので、対シリアで圧力を掛けているというアリバイ作りでこのような芝居をやっているような気がする。現時点で、シリア側から反応は出ていない。このような行動を取ると、全ての国がトルコに対する警戒心を強めるので、トルコにとり今後の外交で必ずしも有利に働かない。)
トルコ外相が、厳しい口調でシリアに警告。(この人は、ホムスが叩かれると対シリア批判をする癖がある。わかりやすい(笑)。)
トルコ大統領顧問が、対シリア制裁はしないし、保護地区設定もしないと発言(前回発言と変わらず)。
ヨルダン国王が、バッシャールは改革精神を持っているが、あのタイプの体制は改革派の登場を許さない。ヨルダンでも民主化要求デモが発生しているが、これまで死者は1人も出ていない。世界のどの国も、シリアがどうなるのか展望を持っていない。心配している・・・と発言。
【治安】
治安情勢については、相変わらずホムス県とイドリブ県で、銃撃、誘拐拷問、爆弾処理、武器押収の報告が多い。
政府は特にホムス県の制圧に力を入れており、レバ・シリ国境の2ヶ所に地雷を敷設して密輸ルートを封鎖。先にラスタン(ホムスの北)を叩いたのに続き、ホムスの南西にあるアル・クサイル方面の締め付けも強めている。
武装集団による待ち伏せ攻撃、銃撃のニュースは絶えないが、武装集団は面を支配しておらず、未だhit-and-runの奇襲攻撃の段階に留まっている模様。
このように、政府はホムス市の周辺を徐々に固めながら、市内の完全制圧を目指しているようだ。10月29日撮影の動画に衝撃映像がある。
ホムス市内Baba Amruバーバー・アムルー(旧市街の城から南西へ3 - 4km、オロンテス川の手前)
戦車砲でビルの上階を叩く。特に00:30以降。迫力がある。
http://www.youtube.com/watch?v=dpllPfwTb_8
同地区のビルから黒煙が上がる。
http://www.youtube.com/watch?v=9tA5sdUdz8k
http://www.youtube.com/watch?v=kmFkyPI4tek
モスク前を撮影。激しい銃声。
http://www.youtube.com/watch?v=s44zaSM_Efs
軍警察の死者・負傷者については、テレビで連日放映しており、子だくさんの国だとはいえ、毎日こんなに死者と重傷者を出して大丈夫なのかと、さすがの私も思う。
住民・武装集団側の死者数については、反体制派が発表する数は毎日何十人もいることになっているが、動画としては毎日数本しかアップされていない。私の個人的印象では、ニュースはいろいろ流れているが、武装闘争をしている人を除いた民間人死者数は少ないと思う。後述のアサド大統領も、そのように発言している。少なくとも4~5月頃のような殺し方はしていないと思う。
CNNが10月30日、シリアが空爆と報道したが、反体制派が流した嘘。
【アサド大統領と大統領顧問の英語インタビュー記事】
Assad: challenge Syria at your peril
Syria's president, Bashar al-Assad, has warned that Western action against his country would cause an "earthquake" that would "burn the whole region".
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/middleeast/syria/8857898/Assad-challenge-Syria-at-your-peril.html
By Andrew Gilligan, in Damascus
8:43PM BST 29 Oct 2011
シリアを壊したら、後始末で大変な思いをするのは君たちだよ、と涼しい顔で恫喝。シリアは1950年代からムスリム同胞団と戦っており、今もそうだと、名指しで敵視表明。
Robert Fisk: 'The army was told not to fire at protesters'
Our writer presses Assad's key adviser on the violent battle for Syria's future
http://www.independent.co.uk/opinion/commentators/fisk/robert-fisk-the-army-was-told-not-to-fire-at-protesters-2376892.html
Robert Fisk
Friday, 28 October 2011
【地方選挙】
金曜から、地方選への立候補者の受け付け開始。受け付け期間は1週間。
【シリア国内紙の報道ぶり】
NATO軍はリビアにおいて、石油施設を除く全てのインフラを破壊した。死者6万人、負傷者7万人。(軍事介入を望む声があるが、シリアがこうなっていいのか、という対外批判かつ国内向け恫喝。なかなか良い視点。)
「アラブの春」だの「アラブ革命」だのと持ち上げて報道しているが、リビアはNATO軍が占領したというのが実態であり、こんなものは民衆革命ではないと切り捨てた、エジプトのヘイカルの発言を紹介。
SNC内の対立・まとまりの無さを随時紹介。
シリア側の守りが完璧であるため、米欧は打つ手がなく困っているという趣旨の論調。米国がフォード大使を召還したのは外交的失敗であると、召還の翌日から報道。最新のバアス紙では、米国とイスラエルの情報部が作戦失敗を認めたというパレスチナ(イスラエル)のアラビア語紙の記事を紹介していた。
フランス人の研究者の発言を紹介。周辺諸国で控えているイスラム過激派の戦闘員1万7千人が、随時シリアに密入国している。対シリア武器密輸ネットワーク構築にイスラエルが絡んでいる。
Tishreenティシュリーン紙10月24日は、(ジャジーラなど)海外メディアが(発生していないデモを発生したと報じ、死んでいない人を死んだと報ずる)嘘を垂れ流し続けているのに対し、シリアの国内メディアは事実報道に力を入れたため、国民の国内メディアに対する信頼感が向上し、メディア戦に勝ったという自画自賛の分析を掲載した。
(注:国営・準国営テレビは、海外テレビが流すニュース映像や解説がいかに事実に反するかという検証コーナーを設け、連日放送している。)
【経済】
先週の株価指数は、月曜だけ下げ、火水は反発して910.89ポイントまで戻した。
燃料が品薄で手に入らないため、中小企業の閉鎖がここ数日で急増したと、アレッポ商工会議所が政府に苦情を申し入れ。
石油大臣が発表。原油輸出で新規に3契約を結び、まもなく輸出が再開される。冬の灯油需要が高まっており、国内生産で足りない分は輸入する。パイプライン攻撃に備えた対策を講じた。
政府は、今回の危機を利用して、赤字を肥大化させている国営企業の改革に手を付け始めた。(どこまでできるかは不明だが、非常時に切り込むのはオーソドックスなアプローチ。)
灌漑大臣を、副首相に任命。(自給率を高め、輸出を拡大するため、農業開発の話題が多い。)
アレッポ県で公共事業の達成率が低い。分野別に30%、60%という感じ。
中小プロジェクト支援基金を拡充。(景気対策として思い付くことは何でもやっている印象。)
10月30日から、経済分野に特化した国民対話を開始。
EU制裁を受け凍結されたシリアの銀行資産は、CBS(商業銀行)がほぼゼロ(事前にささっと現金を移動して逃げた・笑)、作業に慣れていないReal Estate Bank(不動産銀行)は対応が遅れたが、帳簿上は400万ドル未満と僅か。
シリア沖合油田・ガス田3鉱区の入札書類を、米欧社を含む12社が購入。ただし、そのうち数社は、制裁を理由に以後のコンタクトが無くなった。
シリアの家電メーカーSyronicsが、LCD TVの組み立て生産を開始。部品はマレーシア企業から提供を受ける。
財務大臣が、賃金とボーナスの削減はないが、イードゥル・アドハーを前にした毎年恒例の一時金支給は、今年は無しと発表。理由は、年度途中での相次ぐ納税免除で財源が足りないため。
今年のイード祝日は、11月6~10日。
統一テーマはFriday for Air Blockade(空域封鎖を求める金曜日)。
アラブ連盟の代表団がシリアに押し切られた点(後述)に落胆表明。国連・国際社会の支援がない点にいらだちを表明。。
クルド地区では、ムスリム同胞団と海外組の世俗派(ガリユーン)とアサド大統領の3者は、クルド問題に無関心である点が共通していると批判。
【アラブ連盟】
先週水曜日のアラブ連盟・外相レベル代表団のシリア訪問については、「訪問団を受け入れることと、外相会議の決議を受け入れることは別」というスタンスで会談に臨んだ。
会談後にカタール首相が記者に語った話(合意した点もあるが、合意しなかった点もあり、それぞれが懸案事項を持ち帰り、30日にまた会談する)は外交的な表現であって、実際には、双方が主張したいことを主張して終わった模様。シリア側報道によると、シリアは規定の路線を貫いた。つまり、対話はシリア国内で開く。参加するのは自由だが、ボイコットする人は相手にしないというスタンス。
(このシリアの姿勢を受け、アラブ連盟がどのような対応をするかは、日本時間で明日以降の話になる。)
(新聞情報としては書かれていないものの、シリアはカタールに対し、ジャジーラの捏造報道を止めろくらいのことは要求したはずだが、その後ジャジーラの報道姿勢に変化がないところを見ると、カタールの側も態度を変えていないのだろう。)
ムアッリム外相とミクダード外務次官が本日カタールを訪問し、「シリアの本当の現状」を説明する。また、シャアバーン大統領顧問が、近くサウジを訪問する。
【国連】
国連のバンキムン事務総長が安保理に提出したシリア報告書の内容が、米欧の新聞報道と人権団体の発表をまとめただけであり、事前にシリア政府が国連に提出した情報が一つも含まれていないと、シリア大使が事務総長を名指しで批判。
シリア軍がレバノンに越境したという件については、シリア・レバノン両政府が「シリア軍は越境していない」と公式発表していて、二国間で問題になっていないのに、第三者である国連が、シリアの名前を国連報告書に載せた点を、特に許し難いとしている。
レバシリ国境が未確定である最大の理由は、イスラエルによる占領(対イスラエル武装闘争に必要な土地)なので、イスラエルの政策を正すのが筋なのに、米国は拒否権を行使してきたと反論。
別件で、IAEAの査察団受け入れ要求に対し、シリア政府が拒否回答。
【米国】
フォード駐シリア大使を非公式な理由で引き上げたが、シリアが即座に駐米大使の本国召還を発表したら、国務省はフォード氏が米国に戻った理由説明を二転三転させ、最後は、まもなく帰任させると発表。米国政府は明らかに動揺した。
別件で、シリアが制裁をかいくぐり、米国Blue Coat社のウェブ・アクセス監視システムを入手した(最新のWSJ紙)。
【周辺国】
トルコ外務省が、離反兵アスアド氏のNYT紙記者とのインタビューを、ハタイ県の役所内で設定した。アスアドは武器支援をぬけぬけと世界に要請。
(トルコは実際に対シリア制裁をすることができないので、対シリアで圧力を掛けているというアリバイ作りでこのような芝居をやっているような気がする。現時点で、シリア側から反応は出ていない。このような行動を取ると、全ての国がトルコに対する警戒心を強めるので、トルコにとり今後の外交で必ずしも有利に働かない。)
トルコ外相が、厳しい口調でシリアに警告。(この人は、ホムスが叩かれると対シリア批判をする癖がある。わかりやすい(笑)。)
トルコ大統領顧問が、対シリア制裁はしないし、保護地区設定もしないと発言(前回発言と変わらず)。
ヨルダン国王が、バッシャールは改革精神を持っているが、あのタイプの体制は改革派の登場を許さない。ヨルダンでも民主化要求デモが発生しているが、これまで死者は1人も出ていない。世界のどの国も、シリアがどうなるのか展望を持っていない。心配している・・・と発言。
【治安】
治安情勢については、相変わらずホムス県とイドリブ県で、銃撃、誘拐拷問、爆弾処理、武器押収の報告が多い。
政府は特にホムス県の制圧に力を入れており、レバ・シリ国境の2ヶ所に地雷を敷設して密輸ルートを封鎖。先にラスタン(ホムスの北)を叩いたのに続き、ホムスの南西にあるアル・クサイル方面の締め付けも強めている。
武装集団による待ち伏せ攻撃、銃撃のニュースは絶えないが、武装集団は面を支配しておらず、未だhit-and-runの奇襲攻撃の段階に留まっている模様。
このように、政府はホムス市の周辺を徐々に固めながら、市内の完全制圧を目指しているようだ。10月29日撮影の動画に衝撃映像がある。
ホムス市内Baba Amruバーバー・アムルー(旧市街の城から南西へ3 - 4km、オロンテス川の手前)
戦車砲でビルの上階を叩く。特に00:30以降。迫力がある。
http://www.youtube.com/watch?v=dpllPfwTb_8
同地区のビルから黒煙が上がる。
http://www.youtube.com/watch?v=9tA5sdUdz8k
http://www.youtube.com/watch?v=kmFkyPI4tek
モスク前を撮影。激しい銃声。
http://www.youtube.com/watch?v=s44zaSM_Efs
軍警察の死者・負傷者については、テレビで連日放映しており、子だくさんの国だとはいえ、毎日こんなに死者と重傷者を出して大丈夫なのかと、さすがの私も思う。
住民・武装集団側の死者数については、反体制派が発表する数は毎日何十人もいることになっているが、動画としては毎日数本しかアップされていない。私の個人的印象では、ニュースはいろいろ流れているが、武装闘争をしている人を除いた民間人死者数は少ないと思う。後述のアサド大統領も、そのように発言している。少なくとも4~5月頃のような殺し方はしていないと思う。
CNNが10月30日、シリアが空爆と報道したが、反体制派が流した嘘。
【アサド大統領と大統領顧問の英語インタビュー記事】
Assad: challenge Syria at your peril
Syria's president, Bashar al-Assad, has warned that Western action against his country would cause an "earthquake" that would "burn the whole region".
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/middleeast/syria/8857898/Assad-challenge-Syria-at-your-peril.html
By Andrew Gilligan, in Damascus
8:43PM BST 29 Oct 2011
シリアを壊したら、後始末で大変な思いをするのは君たちだよ、と涼しい顔で恫喝。シリアは1950年代からムスリム同胞団と戦っており、今もそうだと、名指しで敵視表明。
Robert Fisk: 'The army was told not to fire at protesters'
Our writer presses Assad's key adviser on the violent battle for Syria's future
http://www.independent.co.uk/opinion/commentators/fisk/robert-fisk-the-army-was-told-not-to-fire-at-protesters-2376892.html
Robert Fisk
Friday, 28 October 2011
【地方選挙】
金曜から、地方選への立候補者の受け付け開始。受け付け期間は1週間。
【シリア国内紙の報道ぶり】
NATO軍はリビアにおいて、石油施設を除く全てのインフラを破壊した。死者6万人、負傷者7万人。(軍事介入を望む声があるが、シリアがこうなっていいのか、という対外批判かつ国内向け恫喝。なかなか良い視点。)
「アラブの春」だの「アラブ革命」だのと持ち上げて報道しているが、リビアはNATO軍が占領したというのが実態であり、こんなものは民衆革命ではないと切り捨てた、エジプトのヘイカルの発言を紹介。
SNC内の対立・まとまりの無さを随時紹介。
シリア側の守りが完璧であるため、米欧は打つ手がなく困っているという趣旨の論調。米国がフォード大使を召還したのは外交的失敗であると、召還の翌日から報道。最新のバアス紙では、米国とイスラエルの情報部が作戦失敗を認めたというパレスチナ(イスラエル)のアラビア語紙の記事を紹介していた。
フランス人の研究者の発言を紹介。周辺諸国で控えているイスラム過激派の戦闘員1万7千人が、随時シリアに密入国している。対シリア武器密輸ネットワーク構築にイスラエルが絡んでいる。
Tishreenティシュリーン紙10月24日は、(ジャジーラなど)海外メディアが(発生していないデモを発生したと報じ、死んでいない人を死んだと報ずる)嘘を垂れ流し続けているのに対し、シリアの国内メディアは事実報道に力を入れたため、国民の国内メディアに対する信頼感が向上し、メディア戦に勝ったという自画自賛の分析を掲載した。
(注:国営・準国営テレビは、海外テレビが流すニュース映像や解説がいかに事実に反するかという検証コーナーを設け、連日放送している。)
【経済】
先週の株価指数は、月曜だけ下げ、火水は反発して910.89ポイントまで戻した。
燃料が品薄で手に入らないため、中小企業の閉鎖がここ数日で急増したと、アレッポ商工会議所が政府に苦情を申し入れ。
石油大臣が発表。原油輸出で新規に3契約を結び、まもなく輸出が再開される。冬の灯油需要が高まっており、国内生産で足りない分は輸入する。パイプライン攻撃に備えた対策を講じた。
政府は、今回の危機を利用して、赤字を肥大化させている国営企業の改革に手を付け始めた。(どこまでできるかは不明だが、非常時に切り込むのはオーソドックスなアプローチ。)
灌漑大臣を、副首相に任命。(自給率を高め、輸出を拡大するため、農業開発の話題が多い。)
アレッポ県で公共事業の達成率が低い。分野別に30%、60%という感じ。
中小プロジェクト支援基金を拡充。(景気対策として思い付くことは何でもやっている印象。)
10月30日から、経済分野に特化した国民対話を開始。
EU制裁を受け凍結されたシリアの銀行資産は、CBS(商業銀行)がほぼゼロ(事前にささっと現金を移動して逃げた・笑)、作業に慣れていないReal Estate Bank(不動産銀行)は対応が遅れたが、帳簿上は400万ドル未満と僅か。
シリア沖合油田・ガス田3鉱区の入札書類を、米欧社を含む12社が購入。ただし、そのうち数社は、制裁を理由に以後のコンタクトが無くなった。
シリアの家電メーカーSyronicsが、LCD TVの組み立て生産を開始。部品はマレーシア企業から提供を受ける。
財務大臣が、賃金とボーナスの削減はないが、イードゥル・アドハーを前にした毎年恒例の一時金支給は、今年は無しと発表。理由は、年度途中での相次ぐ納税免除で財源が足りないため。
今年のイード祝日は、11月6~10日。