小室夫妻が結婚会見に場違いな「トランプ話法」連発、評判最悪でも感心した理由

小室夫妻が結婚会見に場違いな「トランプ話法」連発、評判最悪でも感心した理由
10/28(木) 6:01配信
窪田順生
ダイヤモンド・オンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/2abe13b5f00cac39e307e2f4c65b213154ef3f53

 秋篠宮家の長女・眞子さんと小室圭さんが結婚会見を開いたが、評判がすこぶるよろしくない。最大の理由は、「トランプ話法」にあったのではないか。ドナルド・トランプ前米大統領が多用した、否定的なニュースや批判意見を「フェイクニュースだ」と一刀両断する、あの話法だ。ただ、それを批判したいわけではなく、むしろ筆者は「新しいやり方だ」と感心している。記者会見や危機管理の常識がひっくり返る時代が迫っているのかもしれない。(ノンフィクションライター 窪田順生)

● 眞子さんと小室圭さんの結婚会見 すこぶる評判がよろしくない理由は?

 これならば声明だけ出して静かにニューヨークへ旅立った方がよかったかもしれない。

 10月26日、秋篠宮家の長女・眞子さんが、小室圭さんと結婚をして晴れて「小室眞子」という一般人になったのだが、その後に催された結婚記者会見が「やらない方がよかった」などすこぶる評判がよろしくないのだ。

 もともと、小室家の金銭トラブルの対応姿勢などで、お二人の結婚に批判的だった人たちだけではなく、「もう認めてあげようよ」「たたきすぎ」と擁護していた人たちの間にも、何やら後味の悪い印象を残してしまっている。

 まず大きな理由は、質問に対する回答を書面にしたという点だ。眞子さんのメンタルヘルスを考慮してということだが、「ゲス不倫」時のベッキーのように、一方的に自分の主張を伝えて「質問禁止」という会見スタイルは、共感を得ることが難しい。かえって「過激なアンチ」を生んでしまう。

 実際、この書面対応の一報が流れると、ヤフーニュースのコメント欄には批判的な書き込みが殺到。中にはヤフーのコメントポリシーに抵触するものも多くあったということで、コメント欄が閉鎖されるという異例の事態に発展している。

 また、小室圭さんの海外留学や小室家の金銭トラブルの対応が、実はすべて眞子さんの希望に沿ったものだったというカミングアウトに対して、「皇族がそこまで介入していいの?」と釈然としないものを感じている人も少なくない。

 ただ、ここまで多くの人があの会見にモヤモヤしたものを感じるのは、小室夫妻が結婚会見というおめでたい席にそぐわない「トランプ話法」を多用したからではないだろうか。

● 小室夫妻が結婚会見で多用した 「トランプ話法」とは?

 ご存じのように、ドナルド・トランプ前米大統領は、自身に否定的なニュースや批判をするような報道を「あれはフェイクだ」と一刀両断するという話法を多用した。米CNNテレビの記事『トランプ氏の「フェイク」発言、就任後は1日平均1回以上』(2018年1月20日)によれば、大統領就任以降1年間で、「あれはフェイクニュースだ」という発言を404回やっていた。「1日1フェイク」と言っていいほどの日課にしていた。

 批判する者たちの信用をおとしめれば、自分は「デマと戦うヒーロー」というブランディングができる。メディアに対して不満を抱く人からすれば「よくぞ言った」と拍手喝采なので、「熱烈なファン」も獲得できる。米プロレス団体WWEの興行やリアリティ番組などで人気を博した、トランプ氏らしいスピンコントロール(情報操作)だ。

 そんな「トランプ話法」とほとんど変わらないメッセージが今回、小室夫妻の会見ではやたら多く出てきているのだ。その代表が、会見と質問回答で計3回出てきた以下の表現だ。

 「誤った情報が、なぜか間違いのない事実であるかのように取り上げられ、いわれのない物語となって広がっていく」

 皇室の方らしい丁寧で、趣のある言い回しだが、この文章を要約すれば「フェイクニュース」に他ならない。つまり、表現はマイルドだが、主張していることはほぼトランプ氏と変わらないのだ。事実、トランプ氏が会見やTwitterでよく使う文言が、今回の結婚会見でもやたらと目立つ。

 「誤った情報」という表現が8回、「いわれのない物語」という表現が3回、「誹謗中傷」が2回だ。さらに「根拠のない多くの厳しい批判」「否定的な報道」「根拠のない批判」「事実に基づかない情報」など似た表現も頻出している。

 もちろん、小室家の金銭トラブルなどについて質問された回答文書でこのような表現になるのは分かるが、一方的に自分たちの思いを告げる会見の場でもやたらとこの手の言葉が飛び出ているのだ。明らかに多すぎる。こっちは誰もそんなことは聞いていないのに、自分たちから率先して話題にしている。

● これまで危機管理の世界では 「トランプ話法」は悪手とされてきたが…

 筆者はこれまで300件近く記者会見の事前アドバイスや模擬会見トレーニングなどを経験してきた。国会議員や経営者のスピーチ原稿も作成してきた。しかし、会見の原稿の中で、自分たちを批判する者たちの信用をおとしめる主張をここまで繰り返すケースはあまりお目にかかったことがない。

 危機管理の世界ではこれまで、「人を呪わば穴二つ」ではないが、自分の都合の悪いニュースや批判意見を「デタラメ」「うそつき」などと過度に攻撃することは、事態を悪化させると考えられてきたからだ。

 もちろん、本当に事実無根のデタラメで、会社の事業やブランドに大きな損害を与えているようなものならば法的手段に出るべきだし、釈明会見も開くべきだ。しかし、まったくの事実無根とは言えない情報、それなりに根拠のあるニュースなどに対して、「フェイクニュースだ」とたたいてしまうと、批判していた者たちを挑発して、さらに厳しい追及、痛烈な批判を引き起こしてしまう。逆効果なのだ。

 では、どうするのかというと、客観的な事実を積み上げて、淡々と否定をするのだ。批判をしてきた人間に罵声を浴びせたい気持ちをグッと抑えて、明確な根拠を示して事実ではないと冷静に答える。相手の挑発に乗ったら負けで、ブレないメッセージを粘り強く繰り返すのが、リスクコミュニケーションの基本とされているのだ。

 しかし、その常識を根底から覆したのが「トランプ話法」である。質問をされなくても、自分を批判しているニュースを取り上げて「フェイクだ」とケンカを売っていく。「マスコミは信用できない」「ワシントンのエリートと組んで、改革を進める自分を抹殺しようとしている」という陰謀論まで吹聴して批判を全否定して、自身の求心力につなげてきた。

 「敵を激しく攻撃することで、自分の支援者を増やす」というリスキーな危機管理テクニックである。そんな「トランプ話法」をまさか秋篠宮家の長女が、しかもおめでたい結婚会見の場で使うというのは、かなり「異常」なことと言っていい。

● 小室夫妻の結婚会見の異常 親や家族への感謝の言葉はなく…

 黒田清子さんの結婚会見などもそうだったが、普通はここに至るまで支えてくれた周囲の人間や、育ててくれた親への感謝から始まり、新しい人生を踏み出す決意、さらには未来への希望などといった話がメインとなる。結婚前日や当日をご両親とどう過ごしたか、どのような温かい言葉で送り出されたのか、などのエピソードを語ることも多い。

 しかし今回、小室夫妻はそれぞれの親や家族への感謝の言葉はなく、家族とどのように過ごしたかなどについても触れていない。その代わりに「トランプ話法」を駆使して、フェイクニュースの被害者だったと主張している。

 断っておくが、そのような小室夫妻の会見スタイルを批判しているわけではない。危機管理を生業とする者の1人として、「新しいやり方だな」と素直に感心しているのだ。

 今回の結婚会見は確かに評判があまりよろしくない。が、一方で、小室夫妻が批判的な論調だったメディアを、明確に「フェイクニュース」と断罪したことで、一連の報道に対して批判的な人々から応援の声も上がっている。

 一方的なマスコミやネットの誹謗中傷に屈することなく、愛を貫いたお二人を賞賛する声もある。また有識者の中には、行き過ぎたマスコミの皇室バッシングのあり方を考えるべきだという意見や、「皇室の人権」を議論すべきだという意見も増えている。

 元皇室の方にとっては異例ともいえる攻撃的な「トランプ話法」によって、確かに「敵」も増えた。が、「敵」を明確にしたことで、「味方」もそれなりに確保することができたのだ。あのようなスタイルの会見は、従来の危機管理のセオリーとしては「失敗」だが、小室夫妻としてはそれなりに満足のいく内容だったのかもしれない。

● 「日本のトランプ」が登場する 土壌は既に出来上がっている

 これからの時代はこのような戦い方が増えていくのかとも思う。今、週刊誌やインターネットの記事に対して芸能人が「デタラメばかり」と批判する動きが活発化している。また、マスコミ各社の論調が、政権に対するスタンスでレイヤーが生じる、いわゆる「偏向報道」の問題もかねて指摘されており、ネットでは「マスゴミ」という表現もよく聞かれる。

 つまり、「トランプ話法」が成立する土壌は既に出来上がっているのだ。自分に批判的なニュースを取り上げて「フェイクニュースだ」と騒いで、「本当のことを言っているからマスゴミがつぶしにかかっているのだ」という陰謀論を唱えて、熱烈な信者を獲得する――。そんな「日本のトランプ」がいつ登場してもおかしくないのだ。

 時代が変われば、コミュニケーションの常識も変わる。「トランプ話法」を元皇族が使うような時代なのだから、企業の危機管理なども従来のようなやり方から変わっていくかもしれない。

 例えば、筆者はよく企業から、マスコミや週刊誌から質問状を受けたときの対応の相談を受ける。どのような言葉で回答をすればいいのか、書面で答えればいいのか、やはり対面でやりとりした方がいいのか、などのアドバイスをしたり、回答案を作ったりする。

 これもそう遠くない未来、小室夫妻のようなスタイルになるかもしれない。つまり、都合の悪いこと、あまり突っ込まれたくないことに関して質問状が送られてきたら、こんな回答で取材拒否をするのだ。

 「いただいた質問の中に、誤った情報が事実であるかのような印象を与えかねない質問が含まれていました。このことに衝撃を受けるとともに、お客さま、取引先企業さまなど多くの人々に誤った情報が広がることに強い恐怖を感じ、これにお答えすることは不可能であると判断いたしました」

 もちろん、これまではこんな回答をしたら「企業の説明責任はどうした」とボコボコにたたかれた。しかし、「メディアはうそばかりをつく」「フェイクニュースだらけ」というムードが強まっていけば、「セーフ」になるかもしれない。

● 「マネジメントの父」ドラッカーが 警鐘を鳴らした社会が目前に迫っている?

 ナチスのプロパガンダを研究していた、「マネジメントの父」と称されるピーター・F・ドラッカー氏は著書『経済人の終わり』の中で、こんなことを述べている。

 「プロパガンダの蔓延の危険性は、プロパガンダが信じ込まれる、ということにあるのではまったくない。その危険は、何も信じられなくなり、すべてのコミュニケーションが疑わしいものになることにある」

 皇室までが報道を「フェイクニュース」だとたたく時代だ。ドラッカー氏が警鐘を鳴らした「何も信じられない社会」は、もうそこまで来ているのかもしれない。

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