「ご結婚」で終わりではない、皇室問題を衆院選の争点にする秘策

「ご結婚」で終わりではない、皇室問題を衆院選の争点にする秘策
会見は世間の疑念を払拭する機会だったが質疑応答を拒否した二人
2021.10.26(火)
岩田 太郎
JB Press
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/67477

 秋篠宮皇嗣殿下の長女の眞子元内親王(30)と小室圭氏(30)が結婚した。これまでの内親王たちの降嫁とは異なり、国民の反対が多い中で、結婚に関する公式宮中行事がすべてキャンセルされるなど、異例続きの「慶事」となった。

 象徴天皇制の形成・展開過程に詳しい名古屋大学人文学研究科の河西秀哉准教授は、「今回の結婚で国民の“象徴天皇観”は分断された」と分析。「保守派からの批判だけではなく、『(私よりも公を重要視する上皇陛下の)平成流』を高く評価する層からも、眞子内親王の姿勢への疑義が見られるようになった」と述べ、皇室に多少なりとも関心を寄せる国民の批判が、今や広い層に拡大したと示唆した。

 結婚祝福派も、反対の大きさを認めている。「周囲の猛反対にめげずにすべてを投げ捨て、ふたりの純愛を貫く、まさに駆け落ち婚」(女性セブン)との言説がそれに相当する。

 また、眞子元内親王ご自身が、「国民からご自分たちの結婚そのものを祝福されていないのではないかと考えておられた」と、宮内庁参与の一人が語っている。小室眞子氏から女性週刊誌、そして皇室研究者に至るまで、国民からの結婚反対の声が非常に強いとの認識が共有されている。

 こうした中、結婚反対・賛成両派の国民から、「国民に寄り添わない皇室は要らない」「皇族に基本的人権がないなら皇室は廃止すべき」とする皇室廃止論まで出るなど、天皇制が政治問題化している。


皇室権力に対する忖度で封殺されている国民の声

 ところが、マスコミやソーシャルメディアなどでこれだけ広く多く議論されている象徴天皇制に関して、自由民主党から日本共産党に至るまで、現在行われている衆議院選挙の争点として取り上げる候補は皆無だ。まるで腫物に触るような対応である。

 例えば、大坂4区から出馬した自民党の中山泰秀候補の応援に駆けつけた青山繁晴参議院議員は応援演説の中で、「自民党内の女系天皇賛成論を排除すべきだ」との考えを示し、衆院選で皇室問題を争点化させた。しかし、その青山氏も、「秋篠宮家への会計監査」「元内親王の結婚に至る意思決定のプロセスの開示」など、今回の騒動の中で一部国民が街頭デモやネットで要望の声を上げている問題にまで踏み込むことはなかった。

 総務省のホームページは選挙の意義を、「私たちの生活や社会をよくするためには、私たちの意見を反映させてくれる、代表者が必要であり、その代表者を決めるのが『選挙』なのです」「選挙は、私たち国民が政治に参加し、主権者としてその意思を政治に反映させることのできる最も重要かつ基本的な機会です」と説明している。

 だが、どの党の候補者も、憲政の一丁目一番地である憲法第1条「国民主権」「国民統合の象徴としての天皇」が踏みにじられたと多くの国民が感じている民主主義の危機に対して、民意を汲み上げて政治に反映するための行動を示さないという、奇異な状況が生じている。

 翻って、健全な民主主義の基盤である言論の自由は、「表現したいことを、表現したい方法で、表現したい時に、表現していい。これが、『表現の自由』です。およそ民主主義国家の憲法では必ず保障されている人権です」(リベラル派の若手弁護士のグループである「明日の自由を守る若手弁護士の会」)と定義されている。

 だが、マスコミは秋篠宮殿下や眞子元内親王に対する批判的意見をほとんど取り上げないばかりか、そうした批判が表現できる数少ない場であるヤフコメも、「AIによる自動判定」でコメント欄が記事単位で閉鎖されている。結果として反対派も賛成派もひっくるめた国民の声が、皇室権力に対する忖度により封殺されているように見えなくもない。

 このように、主権者の代表たる国会議員が民意を汲み上げず、権力の監視機関たるマスコミがその存在意義を放棄し、最後の言論の場であるネット世論も封じられようとする絶望的な状況において、国民の声を政府や国会議員に伝える方策は残されているのだろうか。


無効票になっても白票を投じる意義

 ここで筆者は、「白票作戦」を提案する。

 日本テレビは10月23日、「ツイッター上で『白票』『白紙投票』を含むツイートが増え、14日から1週間で2万件以上投稿されている」と報じ、選挙制度に詳しい神戸大学大学院の品田裕教授の話として、「白票が政治を動かすにはよほどのインパクトが必要」であるものの、「投票に行かずに棄権するくらいであれば、白票であってもまずは票を投じた方がいい」という見解を紹介した。

 さらに、日本テレビは選挙制度に詳しい城西国際大学の鈴木崇弘特任教授の話として、「白票が増えることによって議論の種になり得る。数が増えれば増えるほど話題になり政策に影響を与えることもできる」との考え方を伝えた。

 白票は投票数にカウントされても、結果的に無効票になる。だから、通常は禁じ手だ。また、今回はコロナ禍対策や「分配」政策、消費税率、年金、医療、介護、外交、安全保障など数多くの重要な争点がある。だから、国民の権利かつ義務である投票を、記名で行うことは極めて重要だ。支持する候補者や政党に有効票を投じることが基本である。

 その上で、今回の眞子元内親王の結婚が、より大きな憲政イシューである「皇族権力の肥大化と国民主権・民主主義の危機」で、中長期的により重要な争点であると感じる有権者に筆者が提案したいのが、白票だ。

 まず、その欠点から述べる。白票を投じても、自民党から共産党に至るまで、まじめに皇室問題を国会で取り上げる政党や議員は現実的に見て皆無だろう。もし国会で争点化できるものなら、とっくの昔にしているはずだ。また白票はコロナ禍対策など、より重要だと思われる争点をぼやけさせる「票の無駄」になる。

 加えて、白票は一般的に組織票の強い政党を利するため、朝日新聞などが予測する「自民党単独過半数」の大勢を動かすものでもない。選挙結果を大きく左右できないため、野党を含む各党にとり、白票は痛くも痒くもない。少なくとも短期的には、そうである。ならば、白票にはまったく意味がないのではないか。

 だが、中長期的に見た場合、皇室問題に関して、憲法第99条に定める国会議員の憲法擁護遵守義務を果たさなかったと考えられる政治家を批判するために投じられた白票は、大きな意味を持ってくるのではないかと筆者には思われる。


候補者や政党に白票の事前通知を

 元内親王の結婚に関して、懸念を表明する国民に有無を言わせず事を進められた秋篠宮殿下がこれからも権勢を拡大され、皇室が主権者たる国民に対する権力を誇示するような事態、すなわち「憲法の定める統治の基本秩序を壊乱」するシチュエーションが万が一にも生じた場合に、今は無効票に過ぎない白票は将来的に活きてくるのではないか。

 今回の衆院選において、皇室、政府、立法の憲法不遵守に抗議の白票が多く投じられていた事実は必ず、「公よりも私を重視する皇室のあり方の正統性欠如の証拠」となって将来の民主主義の再生への拠り所になるように思われる。

 しかし白票は、ただ投じるだけでは、その意味がわからない。そのため、「皇族の暴走と国民主権・民主主義の危機」を訴えたい有権者は、事前に街頭や対話集会、さらに選挙事務所へのメールや電話などで、候補者や選挙スタッフに「今回は白票を投じます。その意味は、皇室の国民主権干犯について国会で取り上げてほしいということです」などと伝えるのが大事であると思われる。

 一方、ここにもリスクはある。例えば、自民党が2012年4月に発表した憲法改正草案では、憲法第99条にある天皇の憲法尊重擁護義務を廃止して、新たに現行憲法にはない国民の憲法尊重擁護義務を課している。これにより、天皇の権威を高める一方、主権者たる国民の地位を「政府から義務履行を監視される者」に落としている。

 また、第8条にある皇室財産の授受についても、現行の「国会の議決を要する」から「国会の承認を得る」に変更し、皇室財産をコントロールする者を国民の代表である国会から政府に移すことを提案している。

 白票は、このような皇室に関する憲法改悪を図る自民党を有利にし、中長期的に皇族を含む国家権力を縛る立憲主義と民主主義を弱めかねない。民主主義と皇室を愛する人々にとっては、どちらに転んでも有利な状況とは言えない。


皇室のあり方に疑問を持つ国民が今回の選挙ですべきこと

 翻って、リベラル系の野党や親中派は白票を逆手にとって、皇室問題の政治化を推進し、皇族の基本的人権の保障(天皇が国民と同じ立場になることによる天皇の無意味化)や、女系天皇(結婚相手が中国人であれば中国の家系に王朝が移る)、さらには皇室廃止を実現させようと動く可能性もある。

 しかし、どの党が政権を掌握しても、なし崩し的に「私」を「公」に優先する憲法違反状態の皇室のあり方を推進するのは目に見えている。だからこそ、リスクを覚悟で白票の強い意思表示を行うことが大切ではないかと思えるのである。このような禁じ手を提案せざるを得ないほど、現在の日本の民主主義と皇室をめぐる情勢は危機的に動いているからだ。

 それにもまして、皇室がこれまで、日本人であることの歴史的アイデンティティや団結、そこから生み出される安心、豊かさ、強さを紡ぎ出してきたことを考えれば、どれだけ皇室が国民を裏切り、与野党双方が国体護持や国民主権、民主主義の擁護に興味がなくとも、ここで諦めることは早計に思える。

 白票はリスクに満ちている。だから、皇室問題に対する白票を考えている有権者は、こうしたことも念頭に、記名投票、白票、棄権から、自分が最も正しいと思うオプションを選ぶことになる。

 今回の衆院選における白票は、従来の選挙における白票とは違い、候補者や政党への事前通知と組み合わせることで、大きな意味を持つ可能性を秘めている。民主主義と日本人の国民統合が危機に瀕する中、有権者に大きな責任がのしかかる選挙において、有力な選択肢ではないだろうか。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

驚いた

この記事へのコメント