中東専門家がカレーなる転身 早大生の通過儀礼「メーヤウ」新店長の高岡豊さん

文末にある(目先の一例として挙げられている)難民調査は、本人が自己資金でやる趣味の調査研究ではなく、恐らく高い確率で外務省からの委託調査だろう。

事前の申請書作成は、外務省の側に特別な事情がない限り前年度から綿密に準備する必要があり、互いに顔見知りであったとしても、1度の会議では終わらない。何度も打ち合わせと書類書き直しを繰り返す。外務省の役人が高岡氏の都合に配慮して彼のところにやってくるのではない。突然電話が来て「今から説明に来い」と呼び出されたら、すぐにご説明に上がる。何日も待たせてはいけない。

そして出張準備、標準的には2~4週間の現地調査、帰国したらすぐ口頭での成果報告で省内の関係部署を回る。役人からの質問に丁寧に答える必要があり、「このあとカレー屋の経営がありますから・・・」などと言って席を立てるはずがない。

それから荷物整理と報告書の執筆・校正・印刷(特に執筆・校正にはもの凄く時間がかかる)、数回の内輪の報告会と場合によっては公開講演会、決算書提出と外務省の監査官による監査に合格するまで、彼自身が店を放り出して、相当日数を潰す必要がある。

出張前後の1ヶ月、計2ヶ月間は特に多忙で、現地にいる1ヶ月も含めた計3ヶ月間は、カレー屋から離れるはずだ。飲食店の店主が片手間にできる仕事ではない。都心の一等地にある店は家賃が高く、1年のうち何ヶ月も店を閉鎖して経営が成り立つはずがない。

ということは、執筆者が受け取る報酬額は、同等クラスの委託で支払う一般的な金額に、民間のカレー屋を維持するため高額家賃の数ヶ月分が上乗せされる可能性が高い。財源は当然にして税金だ。高岡氏自身には資本力はないのだから、お金の出所は外務省に限定される。調査報告書作成を理由に、外務省から高岡氏に所定のお金が支払われる限りにおいて問題はないが、そのお金が高岡氏の生活と店の経営の両方を支えるのでなければ、この記事のストーリーは成立し得ないはずだ。情報公開制度で請求してみようかな。



中東専門家がカレーなる転身 早大生の通過儀礼「メーヤウ」新店長の高岡豊さん
2020.7.2 12:10
https://www.sankei.com/world/news/200702/wor2007020014-n1.html

 激辛の一皿が早稲田大に入学した学生の“通過儀礼”として広く認知され、2017年に惜しまれつつ閉店した東京・馬場下町のエスニックカレーの老舗「メーヤウ」が4日、3年ぶりに営業を再開する。新店長に就任したのは、イスラム教過激派の動向などに精通する研究者、高岡豊さん(45)だ。メディアでも引っ張りだこだった中東問題の専門家はなぜ、畑違いの飲食業に「華麗(カレー)なる転身」を遂げたのか。(外信部 時吉達也)

「イスラム国」報道に多数登場

 高岡さんは在シリア日本大使館専門調査員などを経て、国内で最も長い歴史を誇る中東研究機関「中東調査会」で、昨年度まで主席研究員を務めた。イスラム教過激派に関する多数の著書があり、テレビや新聞の報道にもたびたび登場してきた。

 記者も2017年、高岡さんに取材した経験がある。当時、過激組織「イスラム国(IS)」掃討作戦がシリアで大詰めを迎え、残党勢力の世界各地への分散を指摘する声が広がっていた。

 高岡さんは「元々母国に不満を抱えていた人間がISの名を利用して事件を起こしているだけだ」と強調し、こうした懸念を否定。過剰な警戒はむしろ「注目度を高め、同じような組織を再び出現させることにつながりかねない」と強調した。扇情的な報道にはくみしないとする専門家の矜持が、印象に残った。

中東研究者、一転難民に

 そんな高岡さんの「メーヤウ」との出会いは、新潟県から上京し、早稲田大教育学部に入学した1994年春。多くの新入生と同様、先輩のおごりで星4つの激辛「チキンカリー」に挑戦し「泣きながら食べた」のが最初だった。

 友人たちと話のネタとして訪れるうちにいつしか病みつきになり、間もなく週1回以上通うのが習慣に。4年後の卒業式の日には3食すべてカレーで済ませるなど、メーヤウ愛を育んでいった。研究者の道に進んだ後も、シリアから帰国すれば真っ先に店を目指すなど、常連として20年以上を過ごしてきた。

 しかし、後継者問題などからメーヤウは2017年に閉店。都内の有名店を回っても匹敵する店は見つけられず、カレー難民となった高岡さんは「毎週土曜の昼飯をどこで食べればいいのか」と途方に暮れた。

「二足のわらじ」決意

 翌18年12月、転機が訪れる。別の早大OBらが進めていたメーヤウ復活を目指すプロジェクトの中で、前店長から「店長は高岡さんにお願いしてはどうか」と白羽の矢が立ったのだ。同年秋に大学周辺の商店街の催しで1日限定の復活営業を行った際、高岡さんから「作り方を教えてほしい」と懇願されていたことが、前店長の頭の中にあった。

 同じころ、高岡さんは当時の仕事に行き詰まりを感じていた。危険性の高い中東地域での現地調査は、組織に属する立場から制約を課せられることもしばしばだった。メディアから「ストーリー」に沿ったコメントを求められることにも、頭を悩ませていた。

 「地位と名誉さえ求めなければ、組織を離れても研究を続けることは可能なんじゃないか」。同じく研究職に就く妻からも「好きにすればいい」と背中を押され、「カレー店の店長」と「フリーの中東研究者」の二足のわらじで生きていくことを決めた。

「早大生の心のふるさとに」

 「人生なめてたな」。店の常連から作り手の側に回った、高岡さんの率直な感想だ。「作り方はシンプルだが、時間と手間を惜しんではいけない」というカレーは寸胴1つ、40食分作るのに丸1日かかる。作業の7~8割は掃除と後片付けが占め、開業に向けた準備が本格始動した4月以降、体重は5キロ以上落ちた。

 一方、研究者としての将来に対する悩みがなくなったことで「気持ちはすごく楽になった」という。現在も論文の執筆を続けており、シリア難民の帰還に向けた現地での意識調査など、これまでの研究も今後さらに深めていくつもりだ。「プロとして、傑出した研究をする。その思いは今も変わらない」と自信をのぞかせる。

 移転先の新店舗は東京メトロ副都心線西早稲田駅徒歩1分で、7月4日にオープン。週3日の営業となる見通しだ。「早大生の心のふるさとであり続けたい」。新米店長は、店の評判を知らない現在の学生にも支持されると信じ、準備を進める。「だって、『メーヤウ』ですから」

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