トルコ紙がアサド大統領にインタビュー 撃墜事件、ジュネーブ会議について
(トルコと欧米の報道は、都合の悪いところは削除されたり、歪曲されているようなので、シリア側の報道から訳出した。)
アサド大統領は、トルコのCumhuriyetジュムフリイェト紙、Hürriyetヒュッリイェト紙、Postaポスタ紙、Radikalラディカル紙、Haber Türkハベル・テュルク紙、テレビCNN-Türkからの合同インタビューの申し入れを受け入れ、会談した。前の記事
うち4人(Hürriyet、Posta、Radikal、CNN-Türk)については、トルコ政府の官房長官が面会しないよう要請したため、参加しなかった。
(以下が大統領の言葉。)
(オスマン帝国が崩壊し、1つだった国がアラブとトルコに分裂し、その後長いこと対立関係にあったが、15年前から友好関係に転じた歴史を簡単に振り返った上で、今の事態についてコメントを述べる。)アラブ人とトルコ人の両方が負けた。過去1年3ヶ月の間、我々は一つ以上の方向に動いていた。一つ目の方向性は、国内危機とテロリストとの戦いである。二つ目の方向性は、シリア・トルコ関係の維持である。
(トルコ機撃墜事件(その2)後の両国関係について)私は、彼ら(トルコ政府)が、我々が(二ヶ国で共同して)築き上げてきたもののほとんどを破壊したと言うことができる。基礎は、両国民の間のものである。・・・政府レベルだけで、状況が、この(対決)方向へ向かっているが、我々はシリア側で、シリアまたはトルコの利益にならない紛争を避けるよう働く。しかし国民レベルでは、トルコ人は気付いており、我々が許さないと同じように、状況がこの(対決)方向へ向かうことを許さない。トルコ国民は、彼らの政府が、(一部政治家の)個人的利益のため、彼らを対決に持っていきたいことを知っている。前の記事(リンク先を「世論調査」で検索)
(トルコ機撃墜事件に関するシリアのスタンスについて)もし飛行機が領海外で撃墜されたなら、シリアがそのように説明し、公式な謝罪を提出することに問題はない。
トルコ機を含む敵対的でない飛行機が、撃墜されないことを希望する。しかし、あの状況で未確認飛行物体であれば、たとえそれがシリア機であったとしても、そうすること(たとえ攻撃装置あるいは防御装置を装備していない飛行機であっても撃墜するの)が軍事の規則である。これは政治の規則ではない。自分は、同じ規則が世界のほとんどの国々で適用されていると思う。
(シリアのレーダーに、飛行機は映らなかったのか?)恐らく、高度が高く、領空外にあったときには映っていた。しかし、飛行機の所属が不明で、敵機と推測され、低空飛行でシリアのレーダーに映らなかった。イスラエルの戦闘機が2007年に、同じルートでシリアの軍事拠点を爆撃したときも、シリアのレーダーに映らなかった。もっとも重要なことは、あの地域で、シリアは領海の外に達するミサイルを有していないことだ(=撃墜地点は、領海内以外考えられない)。この点について、トルコ政府の何人かの責任者は嘘を付いている。
心理的観点からは、トルコ国民は兄弟であり、飛行機撃墜は愉快なことではなく、あれが敵機、つまりイスラエルの飛行機であったなら、と言わずにいられない。
(行方不明となった2人のパイロットは、政府の人間、または国家の人間ではないという問いかけに対し)彼らはトルコ軍の一部である。シリア・トルコ両軍の直接関係は、完全に切断された。6ヶ月前に、トルコ政府によって切断された。
トルコ側は、あの戦闘機がシリア領空で何をしていたのか、公に説明しなければならない。シリア軍は、トルコ軍の緊急電話番号を持っていない。しかしながら、我々はこれを求めていない。なぜならば、我々は偶発的な事故とみなしているからだ。
エルドアン・トルコ首相と彼の政府は、事件を利用して、彼らが昨年、国民を結集しようとしてできなかったことを達成しようとしている。彼らは、事件を利用して、両国政府間ではなく、両国民の間に敵意を作り出そうとしており、これは大変危険なことである。
(パイロット2人の家族に対して)もちろん我々は彼らの気持ちを感じている。彼らは我々の兄弟である限り、我々は、いかなるトルコ人を失うことも、シリア人を失うのと同じように感じる。
エルドアンの政策は、シリア人に破壊と流血しかもたらさない。見方を変えれば、この(トルコ)政府は、シリア人に死を望んでいる。我々は、トルコ人に幸福を祈っている。トルコ人は兄弟であり、これは議論の余地のないことだ。トルコ国民の死は、我々にとっては兄弟の死であり、我々は、遺族に深いお悔やみを申し上げる。
パイロットの父が、エルドアンに手紙を書き、息子を殺されたが、これを理由に戦争に進んで欲しくないと伝えた。これは高貴な立場であり、尊敬に値する。私は、完全な確信を持って、彼らと同じに感じている。
(トルコ政府は、シリアを敵対的な体制とみなし、軍隊を国境沿いに集結させている。あなたはトルコをどのように見ているか?)過去にバグダード条約や、1998年の事件(PKKのオジャラン引き渡し)があったが、我々はトルコを敵とみなしたことは、過去になく、将来もない。政府レベルでは立場が異なることはあっても、敵ではない。シリアとトルコが敵であるためには、国民レベルで敵対関係になければならない。政府間の敵対関係だけでは不十分である。したがって、シリアからトルコにけしかけることはない。
(トルコ政府は、シリアの戦闘機、戦車が国境に近づいたら攻撃するとしているが)国境を越えて侵入しない限り、どの国にも発砲する権利はない。
(もし狙われたらどうするか?)それは仮定の質問である。我々は、物事がその方向へ進まないことを望む。シリア国境内の物が狙われた時、それはシリアに対する敵対行為である。
(ジュネーブ会議について、クリントンは「アサドは去らなければならない」と発言したが)米国政府高官の発言は、概して信頼性がない。この危機における米国の立場は、基本的にシリアに敵対的である。米国は、問題の構成要素である。米国は、明白な形でテロの側に立っている。彼らの発言は、我々には大きな意味を持たない。
シリアとアナン特使、シリアとロシアとの間で、まだ直接的な接触はない。アナンとロシア外相から発表された明確なポイントがある。第1に、シリア人だけが決めることができるということ。これは、シリアのスタンスでもある。暴力停止、これもシリアのスタンスである。武装テロ集団は、武装解除されなければならない。これもシリアのスタンスである。
アナン特使は、手がシリア人の血で染まっている(流血に責任のある)人が、シリア内外にいると発言した。これは、他国の役割を示唆している。この点は、本質的である。しかし最も重要なことは、全てはシリアの外ではなく、中で決められることである。
全てがシリアの主権の下である限り、全てを協議することができる。シリアの主権に干渉するいかなることも、歓迎しない。アナン特使は昨日、すべてはシリア人次第であると語った。
(暫定期間にアサドがいて良い・いけないという議論が国際的・地域的にあるが)国際的、地域的という話は、関係のないことである。我々は、外国から押しつけられる、いかなる事も受け入れない。
もし私がポストに執着しているならば、米国の指図とオイルダラーの要望を実行し、自分の立場と原則をオイルダラーに売り飛ばし、ミサイル防衛(MD)をシリアに配備するだろう(=自分はポストに執着していないから、そんなことはしない)。
大統領の退陣が国益にかなうならば、大統領が退陣することは当然である。これは自明である。もし人々が望んでいなければ、一日だってこのポストにいることはできない。人々が求めているか否かは、選挙で明らかになる。自分はポストに執着していない。自分が何を達成するかに執着している。自分は達成が好きな人間である。
7月3日付記事。
http://www.sana.sy/eng/21/2012/07/03/429111.htm
http://www.sana.sy/ara/2/2012/07/03/429103.htm
トルコ語の記事原文。
http://www.cumhuriyet.com.tr/?hn=349316
http://megalodon.jp/2012-0704-0419-17/www.cumhuriyet.com.tr/?hn=349316
その新聞の英語版。かなり短縮されている。
http://en.cumhuriyet.com/?hn=349512
http://megalodon.jp/2012-0704-0418-40/en.cumhuriyet.com/?hn=349512
インタビューは5回連載。その2、その3、その4、その5
アサド大統領は、トルコのCumhuriyetジュムフリイェト紙、Hürriyetヒュッリイェト紙、Postaポスタ紙、Radikalラディカル紙、Haber Türkハベル・テュルク紙、テレビCNN-Türkからの合同インタビューの申し入れを受け入れ、会談した。前の記事
うち4人(Hürriyet、Posta、Radikal、CNN-Türk)については、トルコ政府の官房長官が面会しないよう要請したため、参加しなかった。
(以下が大統領の言葉。)
(オスマン帝国が崩壊し、1つだった国がアラブとトルコに分裂し、その後長いこと対立関係にあったが、15年前から友好関係に転じた歴史を簡単に振り返った上で、今の事態についてコメントを述べる。)アラブ人とトルコ人の両方が負けた。過去1年3ヶ月の間、我々は一つ以上の方向に動いていた。一つ目の方向性は、国内危機とテロリストとの戦いである。二つ目の方向性は、シリア・トルコ関係の維持である。
(トルコ機撃墜事件(その2)後の両国関係について)私は、彼ら(トルコ政府)が、我々が(二ヶ国で共同して)築き上げてきたもののほとんどを破壊したと言うことができる。基礎は、両国民の間のものである。・・・政府レベルだけで、状況が、この(対決)方向へ向かっているが、我々はシリア側で、シリアまたはトルコの利益にならない紛争を避けるよう働く。しかし国民レベルでは、トルコ人は気付いており、我々が許さないと同じように、状況がこの(対決)方向へ向かうことを許さない。トルコ国民は、彼らの政府が、(一部政治家の)個人的利益のため、彼らを対決に持っていきたいことを知っている。前の記事(リンク先を「世論調査」で検索)
(トルコ機撃墜事件に関するシリアのスタンスについて)もし飛行機が領海外で撃墜されたなら、シリアがそのように説明し、公式な謝罪を提出することに問題はない。
トルコ機を含む敵対的でない飛行機が、撃墜されないことを希望する。しかし、あの状況で未確認飛行物体であれば、たとえそれがシリア機であったとしても、そうすること(たとえ攻撃装置あるいは防御装置を装備していない飛行機であっても撃墜するの)が軍事の規則である。これは政治の規則ではない。自分は、同じ規則が世界のほとんどの国々で適用されていると思う。
(シリアのレーダーに、飛行機は映らなかったのか?)恐らく、高度が高く、領空外にあったときには映っていた。しかし、飛行機の所属が不明で、敵機と推測され、低空飛行でシリアのレーダーに映らなかった。イスラエルの戦闘機が2007年に、同じルートでシリアの軍事拠点を爆撃したときも、シリアのレーダーに映らなかった。もっとも重要なことは、あの地域で、シリアは領海の外に達するミサイルを有していないことだ(=撃墜地点は、領海内以外考えられない)。この点について、トルコ政府の何人かの責任者は嘘を付いている。
心理的観点からは、トルコ国民は兄弟であり、飛行機撃墜は愉快なことではなく、あれが敵機、つまりイスラエルの飛行機であったなら、と言わずにいられない。
(行方不明となった2人のパイロットは、政府の人間、または国家の人間ではないという問いかけに対し)彼らはトルコ軍の一部である。シリア・トルコ両軍の直接関係は、完全に切断された。6ヶ月前に、トルコ政府によって切断された。
トルコ側は、あの戦闘機がシリア領空で何をしていたのか、公に説明しなければならない。シリア軍は、トルコ軍の緊急電話番号を持っていない。しかしながら、我々はこれを求めていない。なぜならば、我々は偶発的な事故とみなしているからだ。
エルドアン・トルコ首相と彼の政府は、事件を利用して、彼らが昨年、国民を結集しようとしてできなかったことを達成しようとしている。彼らは、事件を利用して、両国政府間ではなく、両国民の間に敵意を作り出そうとしており、これは大変危険なことである。
(パイロット2人の家族に対して)もちろん我々は彼らの気持ちを感じている。彼らは我々の兄弟である限り、我々は、いかなるトルコ人を失うことも、シリア人を失うのと同じように感じる。
エルドアンの政策は、シリア人に破壊と流血しかもたらさない。見方を変えれば、この(トルコ)政府は、シリア人に死を望んでいる。我々は、トルコ人に幸福を祈っている。トルコ人は兄弟であり、これは議論の余地のないことだ。トルコ国民の死は、我々にとっては兄弟の死であり、我々は、遺族に深いお悔やみを申し上げる。
パイロットの父が、エルドアンに手紙を書き、息子を殺されたが、これを理由に戦争に進んで欲しくないと伝えた。これは高貴な立場であり、尊敬に値する。私は、完全な確信を持って、彼らと同じに感じている。
(トルコ政府は、シリアを敵対的な体制とみなし、軍隊を国境沿いに集結させている。あなたはトルコをどのように見ているか?)過去にバグダード条約や、1998年の事件(PKKのオジャラン引き渡し)があったが、我々はトルコを敵とみなしたことは、過去になく、将来もない。政府レベルでは立場が異なることはあっても、敵ではない。シリアとトルコが敵であるためには、国民レベルで敵対関係になければならない。政府間の敵対関係だけでは不十分である。したがって、シリアからトルコにけしかけることはない。
(トルコ政府は、シリアの戦闘機、戦車が国境に近づいたら攻撃するとしているが)国境を越えて侵入しない限り、どの国にも発砲する権利はない。
(もし狙われたらどうするか?)それは仮定の質問である。我々は、物事がその方向へ進まないことを望む。シリア国境内の物が狙われた時、それはシリアに対する敵対行為である。
(ジュネーブ会議について、クリントンは「アサドは去らなければならない」と発言したが)米国政府高官の発言は、概して信頼性がない。この危機における米国の立場は、基本的にシリアに敵対的である。米国は、問題の構成要素である。米国は、明白な形でテロの側に立っている。彼らの発言は、我々には大きな意味を持たない。
シリアとアナン特使、シリアとロシアとの間で、まだ直接的な接触はない。アナンとロシア外相から発表された明確なポイントがある。第1に、シリア人だけが決めることができるということ。これは、シリアのスタンスでもある。暴力停止、これもシリアのスタンスである。武装テロ集団は、武装解除されなければならない。これもシリアのスタンスである。
アナン特使は、手がシリア人の血で染まっている(流血に責任のある)人が、シリア内外にいると発言した。これは、他国の役割を示唆している。この点は、本質的である。しかし最も重要なことは、全てはシリアの外ではなく、中で決められることである。
全てがシリアの主権の下である限り、全てを協議することができる。シリアの主権に干渉するいかなることも、歓迎しない。アナン特使は昨日、すべてはシリア人次第であると語った。
(暫定期間にアサドがいて良い・いけないという議論が国際的・地域的にあるが)国際的、地域的という話は、関係のないことである。我々は、外国から押しつけられる、いかなる事も受け入れない。
もし私がポストに執着しているならば、米国の指図とオイルダラーの要望を実行し、自分の立場と原則をオイルダラーに売り飛ばし、ミサイル防衛(MD)をシリアに配備するだろう(=自分はポストに執着していないから、そんなことはしない)。
大統領の退陣が国益にかなうならば、大統領が退陣することは当然である。これは自明である。もし人々が望んでいなければ、一日だってこのポストにいることはできない。人々が求めているか否かは、選挙で明らかになる。自分はポストに執着していない。自分が何を達成するかに執着している。自分は達成が好きな人間である。
7月3日付記事。
http://www.sana.sy/eng/21/2012/07/03/429111.htm
http://www.sana.sy/ara/2/2012/07/03/429103.htm
トルコ語の記事原文。
http://www.cumhuriyet.com.tr/?hn=349316
http://megalodon.jp/2012-0704-0419-17/www.cumhuriyet.com.tr/?hn=349316
その新聞の英語版。かなり短縮されている。
http://en.cumhuriyet.com/?hn=349512
http://megalodon.jp/2012-0704-0418-40/en.cumhuriyet.com/?hn=349512
インタビューは5回連載。その2、その3、その4、その5
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